毎年お正月になると、企業アカウントのXには新年のあいさつが並びます。

干支を使った年賀画像、キャラクターの描き下ろし、お年玉キャンペーン。投稿の内容はさまざまですが、せっかく発信するなら、フォロワーに楽しんでもらえる企画にしたいところです。

では、ほかの企業はどんな工夫をしているのでしょうか。

この記事では、2026年のお正月に投稿された企業アカウントの事例を11件紹介します。実際の投稿と反応を振り返りながら、2027年のお正月に取り入れられそうなアイデアを探していきます。

2027年の正月投稿を考えるポイント

  • まず投稿の目的を決める。 多くの人に届けたいのか、いまのフォロワーに喜んでもらいたいのか、商品を思い出してほしいのか、フォロワーを増やしたいのか。目的によって選ぶ企画も、あとで見る数字も変わります
  • 「作りやすさ」と「自社でもできるか」は別に考える。 ブルボンの問いかけ投稿は文章だけで作れますが、ブランドを好きな人が多いから反応が集まりました。手軽な企画ほど、自社とフォロワーの関係が問われます
  • あいさつに、自社ならではの要素を1つ足す。 商品、キャラクター、ファンが好きなもの。今回の事例の多くは、新年のあいさつにこのどれかを組み合わせていました
  • 制作は年内に終える。 2027年の干支は未(ひつじ)です。11月中にはネタ出しを始めておきたいところです

お正月の基本情報

項目内容
日付1月1日(固定日)
話題になる期間12月31日〜1月3日ごろ
よく使われる言葉あけおめ、あけましておめでとう、謹賀新年、今年もよろしく
主なハッシュタグ#謹賀新年 #あけおめ
相性の良い業種全業種
2027年の干支未(ひつじ)

目的から企画を選ぶ

以下は企画を考えるときの目安です。どの企画でも、この効果が必ず出るわけではありません。

投稿の目的検討したい企画あとで見る数字
多くの人に届けたいテキストアート、商品×行事ネタ、隠し要素のある年賀ビジュアル表示数、リポスト・引用
いまのフォロワーに喜んでもらいたい参加型、キャラクター起用、IP・作家イラスト返信の数と内容、いいね率、保存
商品を思い出してほしい商品×行事ネタ、商品デザインの見立て商品に触れた返信・引用、指名検索、サイト流入
フォロワーを増やしたいプレゼントキャンペーンフォロワー純増、キャンペーン後のフォロー継続率、通常投稿への反応

11事例の一覧

「作りやすさ」と「自社でもできるか」は編集部の目安です。各企業の実際の制作体制を示すものではありません。

企業企画パターンいいね率作りやすさ自社でもできるか(必要なもの)
ONE PIECE.comIP・作家イラスト5.2%難ファンが待っている作品やIP
JR東日本アプリ隠し要素のある年賀ビジュアル4.4%中ファンが見分けて楽しめる製品・車両など
セガテキストアート4.0%易遊び心のある表現が似合うブランド
キリンビール商品デザインの見立て3.1%中よく知られたパッケージデザイン
ブルボン参加型(問いかけ)3.0%易ブランドを好きなフォロワー
JAL参加型(遊び)2.5%中〜難正月の遊びと自社の商品の接点
モスバーガー商品×行事ネタ1.5%中見た目でわかる看板商品
ファミリーマートタレント起用1.3%難起用中のタレントと、年末から続く企画
ローソンキャラクター起用0.9%中なじみのある公式キャラクター
マクドナルド商品×行事ネタ0.8%中正月と重なる名前やコンセプトの商品
メルカリプレゼントキャンペーン0.2%難賞品・予算・運用体制

いいね率について:いいね率は「いいね数 ÷ 表示数」で出した、この記事独自の参考値です。Xの公式な「エンゲージメント率」(クリックなども含む)とは別のものです。Xの表示数には、同じ人が何度か見た分や、広告として配信された分も含まれます。アカウントの規模やフォロワーの層、広告の有無が各社で違うため、いいね率で企業や企画の優劣は決められません。各投稿の元の数値は、記事の最後に載せています。

8つの企画パターンと事例

パターン1:IP・作家イラスト

ONE PIECE.com(集英社)|2026年1月1日 0:01

Xで投稿を見る(ONE PIECE.com)

「尾田栄一郎先生から2026年のお祝いイラストが到着!!」。年が明けて1分後に、作者本人の描き下ろしイラストを届けた投稿です。いいねは3.8万、保存も829件ありました。

作品と作者への支持がそのまま強みになっている投稿で、他社がそのまま真似できる企画ではありません。ただ、「毎年この時間にこれが出る」という恒例を持っていることは参考になります。作品やキャラクターを持つ企業なら、単発の年賀画像より、毎年楽しみにしてもらえる企画として続ける方が育てがいがあります。

本文には公式サイトの記事へのリンクも付いています。リンク付きでも反応が落ちないのかどうかは、リンクなしの投稿と比べないとわかりません。

パターン2:タレント・キャラクター起用

ファミリーマート|2026年1月1日 8:00

Xで投稿を見る(ファミリーマート)

「ご 来 マ ツ」。ご来光とマツケンを掛けたあいさつに続けて、「上様に向かって、新年の抱負を送ってくれい!」と呼びかけた動画投稿です。

この投稿だけを見ると元日の一発ネタですが、実際は年末から続く「#年末年始はファミマツケン」キャンペーンの一部です。元日はその流れの中の1本で、抱負を返信で送れるようにしたことで、返信も132件集まりました。

タレントを起用していない企業でも、「年末から元日まで続けて投稿する」という組み立て方は取り入れられます。大晦日のカウントダウン投稿を元日の投稿の前振りにする、といった形です。

ローソン|2026年1月1日 7:01

Xで投稿を見る(ローソン)

アカウントの「中の人」として知られるあきこちゃんが、着物姿で干支の馬に乗った年賀イラストです。背景には富士山、周りには仲間のキャラクターたち。

公式キャラクターがいるなら、干支と一緒に描くだけで年賀投稿になります。11件の中ではいいね率が低めですが、制作の手間を抑えながら毎年続けられる、いちばん基本的な形です。

パターン3:テキストアート

セガ|2026年1月1日 0:01

Xで投稿を見る(セガ)

セガの年賀投稿は、画像を使わず、罫線の記号を組み合わせて「2026」を描いたものです。画像や動画が並ぶ年明けのタイムラインでは、こうした文字だけの投稿がかえって新鮮に映ります。

おもしろいのは、セガがこれをやっている点です。ドット絵を思わせる表現はゲーム会社との相性がよく、凝った年賀画像を用意しなくてもセガらしさが伝わります。いいね率はONE PIECE.comに近い4.0%ですが、片や作者の描き下ろし、片や記号だけ。同じくらいの反応でも、中身はまったく違います。

制作のポイント:記号を使った表現は端末によって崩れることがあるため、投稿前にスマートフォンでの表示確認が必要です。

パターン4:参加型

JAL(日本航空)|2026年1月1日 0:00

Xで投稿を見る(JAL)

「今年はどこに旅しようかな」。動画をタップして止めると、旅先が書かれた札が出る「JAL 旅先かるた」です。

おみくじのように運試しができて、出てくるのは旅行先。正月の遊びがそのまま「今年の旅行を考える」ことになっていて、航空会社ならではの企画です。他社が取り入れるなら、おみくじやかるた、福笑いといった正月の遊びの「結果」に、自社の商品やサービスが出てくる形を考えてみるとよさそうです。

ブルボン|2026年1月2日 8:30

Xで投稿を見る(ブルボン)

画像なし、文章だけ。「2026年もブルボンのお菓子を楽しんでくれる人はいいねをしてくれませんか?」という問いかけに、1.7万件のいいねが集まりました。リポストは387件と少なく、反応はほぼいいねに集中しています。同じ日のうちに、お礼の投稿も出しています。

作るのは11件の中でいちばん簡単です。ただ、長く親しまれてきたお菓子のブランドだからこそ「いいね」で応えたくなる人がいる、という点は見落とせません。好きでいてくれる人が多いアカウントなら試す価値がありますが、「いいねしてください」という投稿を何度も繰り返すと、効き目は薄れていきそうです。

パターン5:商品×行事ネタ

モスバーガー|2026年1月2日 11:00

Xで投稿を見る(モスバーガー)

「モス、おせち...」「モセチ」。重箱にはモスバーガーやポテト、チキンがぎっしり。画像の隅には「※販売しておりません」とあります。

実際には売っていないおせちを、わざわざ作ってみせたユーモアの投稿です。看板商品の見た目がよく知られているので、重箱に並べただけで「モスのおせち」だとわかります。三が日の2日目、おせちにそろそろ飽きてくる頃に出したのも、ネタとしては効いていたのかもしれません。

自社でやるなら、商品と正月のモチーフ(おせち、鏡餅、門松、干支など)を書き出して、形や色、名前が似ているものを探すところから始めてみてください。売っていない商品を見せる場合は、モスのように一言添えておくと誤解を防げます。

マクドナルド|2026年1月1日 8:30

Xで投稿を見る(マクドナルド)

富士山を背景にサムライマックを置き、「2026年も『おいしいね』って笑える毎日でありますように。」とコピーを添えた1枚です。

同じ「商品×行事」でも、モスとはかなり雰囲気が違います。こちらは笑いを取りにいくより、商品の存在を印象づける広告的な表現です。サムライという和の名前と富士山の組み合わせで、新年らしさと商品の紹介を1枚にまとめています。

パターン6:隠し要素のある年賀ビジュアル

JR東日本アプリ|2026年1月1日 9:08

Xで投稿を見る(JR東日本アプリ)

さまざまな車両の正面が並ぶ中に、干支の馬が1頭だけ紛れ込んでいます。鉄道ファンなら、車両を見分ける楽しさもあるビジュアルです。

いいね率は4.4%、保存率は0.22%。今回紹介する11件の中でも反応率が高い投稿でした。隠された馬を探す仕掛けが、画像をじっくり見てもらう理由になったのかもしれません。

自社の製品や店舗、パッケージなど、ファンが見分けられるものを並べて、その中に干支を1つ混ぜる。2027年なら羊です。

パターン7:商品デザインの見立て

キリンビール|2026年1月2日 10:03

Xで投稿を見る(キリンビール)

「ポチ袋作ってみました。」の一言に、「キリン晴れ風」のパッケージデザインそのままのポチ袋の写真。投稿されたのは、お年玉を渡す人が多い1月2日でした。

この投稿で注目したいのは返信です。「どこでダウンロードできますか?」「型紙を配布してほしい!」という声が寄せられていました。投稿自体は写真を見せるだけでしたが、見た人の中には実際に使いたい人がいたわけです。

一方で、「子どもにはあげられない」という指摘もありました。ビールのデザインのポチ袋は、お年玉を渡す相手とは合わない場合があります。

自社で取り入れるなら、ポチ袋や年賀状のテンプレートをダウンロードできる形で用意しておくと、「欲しい」という声にそのまま応えられます。お酒など対象年齢がある商品は、実際に使われる場面まで考えておきたいところです。

パターン8:プレゼントキャンペーン

メルカリ|2026年1月1日 7:00

Xで投稿を見る(メルカリ)

「メルカリみくじ2026」。アカウントをフォローして投稿をリポストすると、抽選結果が通知で届きます。一等は10,000ポイント。参加は2ステップだけです。

リポストは10.9万件、表示は1,087万件と、数字の大きさでは11件の中で群を抜いています。ただ、リポストが応募の条件なので、この数字はキャンペーンの参加数に近いものです。ほかの10件と同じ物差しでは比べられません。

キャンペーンで見るべきなのは、拡散の数より、そのあと何が残ったかです。プレゼント目当てでフォローした人が、その後も投稿を見てくれているか。メルカリの場合は、当選したポイントをそのままアプリで使ってもらえるのも特徴です。

実施前の確認:Xのキャンペーンに関するガイドライン(複数アカウントでの応募や、同じ内容を繰り返し投稿させる企画への注意など)と、景品に関する法令を事前に確認しておきましょう。

投稿時間はどう考えるか

今回の11件の投稿時間は、年明け直後の0時台(ONE PIECE.com、セガ、JAL)、朝7〜9時台(メルカリ、ローソン、ファミリーマート、マクドナルド、JR東日本アプリ)、1月2日(ブルボン、キリンビール、モスバーガー)に分かれていました。

ただ、これは事例を選んだ結果の分布で、元日の企業投稿全体でどの時間帯が強いかを示すものではありません。

時間帯特徴
1月1日 0時台年明けの瞬間を待っているファンに届きやすい。その分、各社の年賀投稿と重なる
1月1日 朝起きてすぐスマホを見る時間帯。キャンペーンなら1日かけて参加を集められる
1月2日以降元日の投稿が落ち着いたあと。おせちに飽きた頃、お年玉を渡す頃など、正月の過ごし方に合わせたネタを出しやすい

投稿時間は、過去の年末年始や休日の自社の投稿実績を見て決めるのが確実です。公開後は投稿内容・形式・時間・表示数・反応率を記録しておくと、翌年の判断材料になります。

2027年に使える企画アイデア

自社の状況検討したい企画2027年(未年)のアイデア
予算や人手が少ないテキストアート、参加型(問いかけ)記号で羊や「2027」を描く/ブランドを好きな人が多ければ「今年も○○を楽しんでくれる人は」と問いかける
公式キャラクターがいるキャラクター起用キャラクターが羊の着ぐるみを着る、羊と並ぶ
見た目でわかる看板商品がある商品×行事ネタ商品でおせちや鏡餅を作ってみる/白くて丸い商品を羊に見立てる
パッケージが広く知られている商品デザインの見立てパッケージ柄のポチ袋や年賀状テンプレートを、ダウンロードできる形で配る
ファンが見分けられる製品や店舗がある隠し要素のある年賀ビジュアル製品の並びの中に羊を1頭紛れ込ませる
作品やIPを持っているIP・作家イラスト毎年恒例の描き下ろしとして続ける
フォロワーを増やしたいプレゼントキャンペーンおみくじ・お年玉の形で、参加条件を少なくした抽選にする

準備スケジュールとチェックリスト

時期やること
11月投稿の目的とあとで見る数字を決め、自社の素材(キャラクター、商品、恒例コンテンツなど)から企画を選ぶ
12月上旬画像・動画を作る。キャンペーンを行う場合は応募規約と当選連絡の方法を準備し、ガイドラインと法令を確認する
12月中旬投稿時間を決めて予約投稿を設定する。テキストアートや動画は複数の端末で表示を確認する
12月31日〜1月3日返信への対応、お礼投稿など、休暇中の運用体制を確認しておく
1月中旬反応数を記録し、自社の普段の投稿と比べて振り返る

公開前チェックリスト

  • 投稿の目的と、あとで見る数字が決まっているか
  • 新年のあいさつに、自社ならではの要素が入っているか
  • 説明を読まなくても、1枚目の画像や1行目で企画がわかるか
  • 干支(2027年は未)の表記や絵柄に間違いがないか
  • 販売していない商品を見せる場合、その旨を書いているか
  • キャンペーンの場合、応募規約・当選連絡・問い合わせ対応の準備ができているか
  • 予約投稿の日時(特に0時台の投稿の日付)が正しく設定されているか