「フォローとリポストで○名様に当たる」。Xを開けば、毎日どこかの企業がこの形のキャンペーンを行っています。

応募数を集めるだけなら、それほど難しくはありません。賞品を魅力的にして、当選者数を増やせば、リポストは伸びます。難しいのはその先です。キャンペーンが終わった翌週、フォロワーはどれだけ残っているか。残った人は、ふだんの投稿を見てくれているか。

この記事では、Xのフォロー&リポストキャンペーンを「応募数」ではなく「残るフォロワー」で設計するための条件の決め方を、実際の企業の事例とともに整理します。

この記事のポイント

  • 賞品は「自社でしか手に入らないもの」に寄せる。 誰でも使えるギフト券は応募を集めやすい一方、ブランドに関心のない人も集まります
  • 参加条件に「自社のこと」を1つ入れる。 フォローとリポストに加えて、商品にまつわる返信や店頭での参加など、ブランドに触れる行動を1つ足します
  • キャンペーン後の投稿まで決めてから始める。 結果発表で終わらせず、増えたフォロワーに見てほしい投稿を用意しておきます
  • 振り返りは「純増数」ではなく「残存」と「反応」で見る。 30日後のフォロワー数と、ふだんの投稿の反応率がキャンペーン前と比べてどう変わったかを確認します

フォロー&リポストキャンペーンとは

フォロー&リポストキャンペーンは、企業のXアカウントをフォローし、指定の投稿をリポスト(旧リツイート)した人の中から抽選で賞品を贈るキャンペーンです。旧Twitter時代は「フォロー&RTキャンペーン」と呼ばれていました。

応募のハードルが低く、リポストによって応募者のフォロワーにも投稿が広がるため、Xのプレゼントキャンペーンの中で最もよく使われる形です。応募した瞬間に当落がわかる「インスタントウィン」という形式もあり、こちらは専用のツールを使って実施するのが一般的です。

一方で、手軽に応募できるということは、ブランドへの関心が薄い人でも応募できるということでもあります。プレゼント目当てでフォローした人は、キャンペーンが終わればフォローを外したり、フォローしたまま投稿に反応しなくなったりします。

なぜ「応募数」だけで評価してはいけないのか

キャンペーンの投稿は、リポストが応募条件になっているため、リポスト数がふだんの投稿とは桁違いに伸びます。

たとえばメルカリが2026年の元日に行った「メルカリみくじ2026」は、リポストが10.9万件、表示が1,087万件に達しました。ファミリーマートの2025年のお年玉キャンペーンも、リポストが7.1万件ありました。

Xで投稿を見る(メルカリ)

ただ、これらの数字はほぼ「応募数」です。拡散されたように見えても、その多くは賞品に応募した人の行動で、投稿の内容に共感して広めたものとは限りません。

また、応募者のフォロワーに投稿が届いても、届いた先がプレゼント企画をまとめてフォローしている「懸賞アカウント」であれば、ブランドの認知にはあまりつながりません。

キャンペーンの成果を測るなら、次の3つを分けて見る必要があります。

指標見ること
応募数(リポスト数)キャンペーンがどれだけ参加されたか
フォロワーの純増と残存キャンペーン後、フォロワーがどれだけ残ったか
ふだんの投稿の反応率増えたフォロワーが、キャンペーン以外の投稿を見てくれているか

「残るフォロワー」を増やす5つの条件

1. 賞品:自社でしか手に入らないものにする

賞品は、応募してくる人の顔ぶれを決めます。

Amazonギフトカードや現金のように誰でも使える賞品は、応募を集めやすい一方で、ブランドに関心のない人も多く集まります。自社の商品やサービスで使えるポイント、限定グッズなど、自社でしか手に入らない賞品にすると、応募数は減るかもしれませんが、もともと関心のある人が集まりやすくなります。

実際、反応を集めている企業のキャンペーンを見ると、賞品を自社のサービスに結びつけている例が多くあります。

企業賞品
メルカリメルカリで使えるポイント(最大10,000P)
ファミリーマートファミペイで使えるギフトコード(最大2,025円相当)
スシロースシローのお食事券
澤田食品自社の福袋

当選した人は、賞品を使うためにサービスや店舗を利用することになります。キャンペーンが、そのまま利用のきっかけにもなります。

2. 参加条件:フォローとリポストに「自社のこと」を1つ足す

フォローとリポストだけでは、応募者がブランドについて考える時間はほとんどありません。そこに、自社の商品やサービスにまつわる行動を1つ足すと、応募のハードルは少し上がりますが、関心のある人が残りやすくなります。

一正蒲鉾の「純お年玉キャンペーン」は、フォロー&リポストに加えて「作ってみたいねりデコ(かまぼこの飾りつけ)をリプライすると当選確率アップ」という条件を入れました。

Xで投稿を見る(一正蒲鉾)

返信は5,777件。応募した人は、かまぼこをどう飾るかを考えてから返信しています。返信は必須ではなく「当選確率アップ」の条件なので、気軽に応募したい人も、しっかり参加したい人も受け入れられる形です。

スシローの「お年玉キャンペーン」は、店内で対象商品を注文すると付いてくるピックからも参加できるようにし、Xのフォロー&リポストのキャンペーンと並行して行いました。Xだけで完結させず、店舗での体験につなげています。

Xで投稿を見る(スシロー)

足す条件の例をまとめると、次のようになります。

足す条件例注意すること
返信で答える「好きな商品を教えて」「○○の使い方のアイデアを送って」返信を読む・対応する体制が必要
引用で投稿する商品の写真やエピソードを引用で投稿応募のハードルが上がり、応募数は減りやすい
指定のハッシュタグをつけるキャンペーン名や商品名のハッシュタグ投稿内容と関係のあるハッシュタグにする
店頭・購入と連動させる商品についているコードや、店舗での参加購入が条件になると景品表示法の上限が変わる(後述)

3. 当選の仕組み:当選者数と結果の届き方を決める

当選者数が多く、結果がすぐにわかるキャンペーンは、参加しやすくなります。ファミリーマートの2025年のお年玉キャンペーンは当選者が合計4万名で、結果はリプライで届く仕組みでした。メルカリも結果が通知で届く形式です。

一方、当選しやすいキャンペーンほど、懸賞アカウントにとっても魅力的になります。当選者数を増やすときは、1の「賞品を自社のサービスで使うもの」にする条件と組み合わせると、関心のない人ばかりが集まる状態を避けやすくなります。

インスタントウィンは、応募した瞬間に当落がわかるので参加率は上がりやすいですが、専用ツールの費用がかかります。少人数の当選なら、通常の抽選で十分です。

4. 開催の仕方:単発か、期間中に繰り返すか

1回きりのキャンペーンより、期間を設けて告知を繰り返す方法もあります。

スシローは、お年玉キャンペーンの期間中、ほぼ同じ内容の投稿を何度も出していて、検索で確認できただけで10件以上ありました。サンポー食品は「リポスト数に応じて当選商品が豪華に」として、キャンペーン全体のリポスト数で賞品が変わる仕組みにしています。

Xで投稿を見る(サンポー食品)

ここで注意したいのが、Xのキャンペーンに関するガイドラインです。Xは、同じ内容の投稿を繰り返すことを促すルール(たとえば「一番多くリポストした人に賞品」)を設定しないよう求めています。サンポー食品のように「キャンペーン全体のリポスト数」で賞品が変わる仕組みと、「1人が何度もリポストするほど有利になる」仕組みは別物です。後者にならないよう、応募は1人1回と明記しておきましょう。

5. 終わったあと:増えたフォロワーに見せる投稿を用意する

キャンペーンで増えたフォロワーが残るかどうかは、キャンペーンが終わった後の投稿で決まります。

結果発表のあと、しばらく投稿がない、あるいは宣伝の投稿ばかりが続くと、フォローを続ける理由がなくなります。キャンペーンの前に、次のような投稿を準備しておきます。

  • 賞品にした商品やサービスの使い方、楽しみ方
  • 応募時の返信で多かった声への回答や紹介
  • 次のキャンペーンや季節の企画の予告

一正蒲鉾のように返信で参加してもらった場合は、集まったアイデアを紹介する投稿がそのまま次のコンテンツになります。

キャンペーンの振り返り方

フォロー&リポストキャンペーンの振り返りでは、応募数に加えて、次の数字を記録しておくと、次回の条件を決めるときの判断材料になります。

見る数字確認の仕方
フォロワーの純増キャンペーン開始前日と終了日のフォロワー数の差
フォロワーの残存終了日と、終了から30日後・90日後のフォロワー数を比べる
ふだんの投稿の反応率キャンペーン前後1か月の通常投稿の「いいね数 ÷ 表示数」を比べる
賞品の利用当選者が賞品(ポイント、クーポンなど)を実際に使ったか
参加の質返信や引用の内容。ブランドについて具体的に書かれたものがどれだけあったか

フォロワーが増えても、ふだんの投稿の反応率が大きく下がっているなら、反応しないフォロワーが増えたということです。次のキャンペーンでは、賞品や参加条件を見直します。

実施前に確認したいルール

Xのキャンペーンに関するガイドライン

Xは、キャンペーンを実施する企業向けに「キャンペーン実施についてのガイドライン」(Xヘルプセンター)を公開しています。主なポイントは次のとおりです。

  • 複数のアカウントで応募した人は当選資格を失うことを明記する
  • 同じ投稿を繰り返すことを促すルールを設定しない。1日に複数回応募した場合は無効になることを明記する
  • 応募の投稿に、主催者の@ユーザー名を含めてもらう
  • ハッシュタグをつけてもらう場合は、投稿内容と関係のあるものにする
  • 法令の遵守は主催者の責任

景品表示法

商品の購入を条件にしないフォロー&リポストのキャンペーンは、一般に「オープン懸賞」にあたり、景品表示法による景品の上限額はありません。

一方、商品の購入や来店を参加の条件にすると「一般懸賞」となり、景品の上限があります。取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍まで、5,000円以上なら10万円までで、景品の総額は売上予定総額の2%までです。景品規制の考え方は、中小企業基盤整備機構のJ-Net21「景品表示法の景品規制について」にもまとめられています。参加条件に「店頭での参加」や「購入」を組み込む場合は、どちらにあたるかを事前に確認しましょう。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談してください。

よくある質問

フォロー&リポストキャンペーンは今でも効果がありますか?

応募数やリポスト数を短期間で増やす効果はあります。ただし、増えたフォロワーがキャンペーン後も残るかどうかは、賞品や参加条件の決め方によって変わります。応募数だけでなく、フォロワーの残存とふだんの投稿の反応率で評価することをおすすめします。

キャンペーン後にフォロワーが減るのを防ぐには?

賞品を自社の商品やサービスで使うものにし、参加条件にブランドに関わる行動を1つ足すことで、もともと関心のある人が集まりやすくなります。あわせて、キャンペーン後に増えたフォロワーに見てほしい投稿を用意しておきます。

インスタントウィンと通常の抽選はどちらがいいですか?

インスタントウィンは応募した瞬間に当落がわかるため参加されやすい一方、専用ツールの費用がかかり、当選しやすさから懸賞目当ての応募も集まりやすくなります。当選者数が少ない場合や、参加条件に返信などを足す場合は、通常の抽選でも十分です。

キャンペーンの賞品に上限はありますか?

商品の購入を条件にしないキャンペーンは「オープン懸賞」にあたり、景品表示法上の上限はありません。購入や来店を条件にする場合は「一般懸賞」として上限があります。詳しくは本文の「景品表示法」をご覧ください。